【ツツジの特徴】
古くから自生している野生種から多くの園芸品種が生まれている。
常緑低木と落葉低木がある。育てやすく花数が多いなど美しい花木である。
夏の強い乾燥は特に苦手なので、庭木の場合は夏時期の水やりは欠かせない。
日当たりのよい場所を好む。強い西日が当たる場所だと葉やけをおこす。
酸性土壌を好むため、ピートモスや鹿沼土を混ぜると生育がよくなる。
病害虫が多く、ツツジグンバイやハダニが初夏に発生して若葉を食害することがある。
また、斑点が出る(さび病・炭疽病)なども発生するので、害虫駆除するのが望ましい。
葉の色が薄くなるなど、葉色が悪くなることがある。
ひどい害虫被害を受けた翌年には花つきが悪くなることもある。
【山躑躅】ヤマツツジ
花色は朱色。
花の大きさは4~5cm。
花先は5枚に分かれて、花びらは丸みをおびた形である。
葉は3~5cmで、先がとがった長い形。
原種に近い野性種。
名前の通り、山の中にあり、ひと際、目をひく存在の花姿。
高さは1m~2.5mほど。
開花時期は4~5月。
ヤマツツジの見分け方は、花色と花びらが丸みをおびた形である。
【霧島躑躅】キリシマツツジ(久留米ツツジ)
花色は赤色、濃ピンク色。
花の大きさは3~4cm。
花先は5枚に分かれて、花数が多くびっくりするほど咲く。
葉の大きさは3cm~5cmほど。
「霧島」とは鹿児島県と宮崎県にまたがる山の名称である。
野生種が品質改良されて、霧島ツツジと呼ばれるようになる。
福岡県久留米市で霧島ツツジの品質改良が進んだため、「久留米ツツジ」とも呼ばれる。
霧島ツツジの名所は多数あるが、特徴は花が密集して咲く。
また、葉の大きさが小さいものが多い。
【琉球躑躅】リュウキュウツツジ
花色は白色。
根元が付いたロート型の花形である。
花先が5枚に分かれてウエーブがかかっている。
葉の大きさは3~5cmほど。
江戸時代に広く流通していたツツジの中でも有名な品種。
品種改良されたときの原種ツツジであるが、紫色の琉球紫や2色の琉球絞り、
八重咲き品種も品種改良により生まれた。
花が白色や絞り花は琉球ツツジ、またはその品種改良の場合が多い。
【皐月躑躅】サツキツツジ(サツキ)
花色は赤色、ピンク色。
花はロート型で、花先は5枚に分かれている。
葉の大きさは2~3cm。
花形も小さく、葉も小さめで地厚でツルツルとしてツヤがある。
ツツジの花が終わった頃にサツキの花の開花が始まる。
4月中頃から5月中頃にかけて、ツツジとサツキが開花する。
開花時期が違うため、見分けやすい。
【西洋躑躅】セイヨウツツジ(アザレア)
花色は赤色、ピンク色。
花形はフリル咲き、八重咲。
葉の大きさは品種により、小さい葉や大きい葉があるのが特徴。
ツツジの原種が西洋にて品種改良されて、新しい品種が生まれている。
日本においても八重咲きやフリル咲きなどが品種改良されて、
花数が多く、豪華で薔薇のような花姿のものが生まれた。
鉢植えで育てることが一般的であるが、地植えでも育てられる。
【平戸躑躅】ヒラドツツジ
ヒラドツツジは、琉球のケラマツツジやモチツツジなどの自然交雑によって作り出された品種群を指している。
西暦1712年頃にはヒラドツツジの文字が文献に残っている。
古くから長崎県平戸市にて栽培されたことが、名前の由来である。
久留米ツツジと同様に株が大きく育ち、刈り込みをしても萌芽力が高く、街路樹や公園などでよく植栽されている。
ヒラドツツジの花は大輪で花径は10cmを超える株もあり、花色は白、赤、赤紫、桃色など、濃淡もあり様々である。
また、大輪が一斉に咲くことで満開時は素晴らしい景観になる。
ヒラドツツジは温暖地に向くので、寒冷地での植栽には向かない。
長崎県平戸市内の公園には、原木を含めた多くの品種が植えられている。
【大紫躑躅】オオムラサキツツジ
野生種ではなく、自然交雑によって生まれたヒラドツツジの品種群。
交配が重ねられたヒラドツツジには数多くの園芸品種があり、
その中の代表的な園芸品種がオオムラサキツツジである。
花はツツジの中でも最も大輪で花数も多く赤紫色が美しい。
耐寒性や耐暑性もあり乾きにも強いことで、最もポピュラーなツツジである。
公園や街路樹として多く植栽されている。
常緑低木だが2mにもなり、花径は8~10cm。
開花期は4月~5月。
丈夫で強健だけでなく、大気汚染などにも強い。
日陰だと花つきが悪くなるので、日当たりのよい場所を選び、水はけよく酸性土壌に植栽するとよい。
剪定作業は、毎年6月上旬までに行うのがベスト。
7月に入ってから作業すると来年の花芽を落としてしまう場合があるので注意が必要。
一般的には、ツツジというとオオムラサキツツジを指すことが多い。
【三葉躑躅 】ミツバツツジ
ミツバツツジは、関東から中部に分布する落葉低木。
低い山に自生しているツツジの種類。
名前の通り、3枚の葉がワンセットになって枝先に出る。
成長した葉は菱形に近くなる。
開花時期は3月で、ツツジの中でも一番早く開花する。
個体数としては少ないが、早春の山で見かけたらミツバツツジの可能性が高い。
やや小さい紫色の花を咲かせて開花後に葉が出てくる。
山の中に自生しているので耐寒性、耐暑性ともに強く、日本を中心としたアジア地域に30種類がある。
ミツバツツジは挿し木や接ぎ木が難しいため、個体数が増えない。
また、ヤマツツジと近縁のため、区別もかなり難しい種類。