どんぐり

「どんぐり」は植物のどこの部分にあたるの?
果実?
種子?
それは一部分、または全体を「殻斗(かくと)」に覆われた「堅果(けんか)」と呼ばれます。
どんぐりの殻斗は、「ぼうし」や「はかま」などと呼ばれることもあります。

植物学では、どんぐりはブナ科の果実(堅果)の総称です。
形状や大きさは、樹木によって特徴が異なります。
基本的には尖った先端から細長い堅果があり、下の方には器みたいなお椀状の殻斗で覆われています。
堅果はブナ科の果実にあたる部分で、ブナ科に共通の特徴です。

どんぐりの種類を見分けることはとても難しく、樹木の幹や枝、葉を観察して判断する方が確実です。
分類すると「ブナ属」「クリ属」「コナラ属」「シイノキ属」「マテバシイ属」となります。

樹種の判別はとても難しいのですが「ブナ属」「クリ属」「コナラ亜属(ウバメガシを除く)」は
落葉広葉樹で、「アカガシ亜属」「シイノキ属」「マテバシイ属」「コナラ亜属(ウバメガシ)」は
常緑広葉樹です。

秋の味覚として人間が食するクリもどんぐりの一種なのです。
クリの殻斗は触ると痛いトゲがたくさん生えて、「イガ」や「イガイガ」と呼ばれます。
クリのように殻斗でどんぐり全体を覆われるものもあります。

リスや小動物、クマの大好物といえば、どんぐりやクリ。
なるほど、これだけ美味しいのだから、たくさん食べるに決まっていますね。
これらブナ科植物の果実は比較的大きく、大量のデンプンを蓄えて、さらに生産量も多く、
哺乳類にとって秋の重要な食料なのです。

ドングリのでき具合が、森の野生動物の秋冬の生存に大きな影響を与えます。
人間は一般的にはどんぐりは食しないけれど、森の中で冬眠するクマにとっては大切な栄養源なので、
どんぐりの不作はクマだけでなく、リスなどの小動物にも死活問題なのです。

ドングリを秋から冬にかけての食料としている動物(ネズミ類、リス類、カケス類)のように、森の中に分散して埋蔵貯食するものがいます。
小動物が埋めたドングリは大半が越冬時の食料として消費されますが、春になっても一部が余り、食べ残されることがあります。
それらが親樹木から離れた場所で発芽し、次世代の植物になっていきます。

ナラ類やカシ類はタンニンの含有量が多く、哺乳動物の生食には向きません。
また、どんぐりの成分の中には中毒になる成分もあるため、むやみに人間が食べてはいけません。

どんぐりの種類は、日本固有種だけでも20種以上になります。
分布域は北海道や東北から沖縄まで、樹木によってはかなりの広範囲です。
どんぐりを探しに小旅行に出たら、新しいどんぐりが発見されるかもしれない。
どんぐりと葉っぱを持ち帰り、樹木や幹を写真に残してまとめてみよう。
わくわく楽しくて、どんぐりで世界観が変わるかもしれません。

コナラ(ブナ科コナラ属)

コナラ(ブナ科コナラ属)

シラカシ(ブナ科コナラ属)

シラカシ(ブナ科コナラ属)

スダジイ(ブナ科シイ属)

スダジイ(ブナ科シイ属)

ナラガシワ(ブナ科コナラ属)

ナラガシワ(ブナ科コナラ属)

マテバシイ(ブナ科マテバシイ属)

マテバシイ(ブナ科マテバシイ属)

クリ(ブナ科クリ属)

クリ(ブナ科クリ属)

ミズナラ(ブナ科コナラ属)

ミズナラ(ブナ科コナラ属)

アベマキ(ブナ科コナラ属)

アベマキ(ブナ科コナラ属)

アラカシ(ブナ科コナラ属)

アラカシ(ブナ科コナラ属)

イチイガシ(ブナ科コナラ属)

イチイガシ(ブナ科コナラ属)

ウバメガシ(ブナ科コナラ属)

ウバメガシ(ブナ科コナラ属)

クヌギ(ブナ科コナラ属)

クヌギ(ブナ科コナラ属)